嘘だまり

ある店で (その2)

2017年02月09日
ある店で

真夜中、奈津夫が人の気配に気付いて目を覚ますと、戸締りしてある家にどうして入ったのか、不愛想だったあの時計屋の店主が枕元にいて、奈津夫の布団に入ると添い寝をした。

店主は奈津夫が店を訪れた時のままの姿だったし、表情は相変わらず無愛想だが、添い寝をすると同時に手を伸ばして奈津夫の陰茎を握った。そんなに手を動かす訳でもないのに、得も言われぬ快感が奈津夫を襲う。奈津夫が手を伸ばして店主の体に触れようとした途端、決まったように無愛想な表情が一変する。艶然とした店主は更なる刺激を加えて拒むのだ。いつの間にか、奈津夫は夢に出てくる店主の虜になった。

だが店主はいつの間にかいなくなる。陰茎を握られ、満足して眠りに落ちる奈津夫を見届けて。

毎夜、店主を待つ奈津夫がいた。
 奈津夫は寝ないで現れる店主を待ったが、いつの間にか目を閉じてしまい、夜中に気が付くとすでに添い寝をしていた。店主は現れると必ず奈津夫の陰茎を握る。だが相変わらず、店主は自分の体に一指も触れさせない。触れようとすると、気持ちが萎えるまで刺激を加えて奈津夫を惑乱させる。
 そんな日を繰り返した。
「いつも、店で着ている服のままだが、たまには女らしい服装で来ないか」
「あなたは服装よりも、中身の方に興味が有るのでしょう?」
「それは……」
 言い当てられて、奈津夫が戸惑っていると、
「いいわよ、今日は特別に体の一部に触れさせてあげる」
「本当か!」

店主は衣服のボタンをはずし奈津夫の手を握って、衣服の内へ導き入れた。店主の体は奈津夫の予想と違い、滑らかで丸みはあるが硬質で温かみの乏しい肌、竜頭のような乳頭に触れた。

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