嘘だまり

ある街で (その2)

2017年02月01日
ある街で

店主に示されて治夫が入った個室の広さは3畳ほど。
 部屋の隅には店にも置いて有るような散髪道具、それに脱衣かごと白い布をかけたベッドだけの殺風景な部屋。
 入るとすぐに、店主は「下の衣服を外すように」と言った。
 店主と言えど妙齢の女性だ。陰毛が生えそろってからの治夫は女性の前で下腹部を晒したことは無い。治夫が戸惑っていると、店主は準備の手を止め、
「脱ぐのが恥ずかしい? 何なら下着だけは外さなくてもいいわよ、でも毛髪を整える時は下着を下げるから同じことなんだけど」
 笑顔を見せながら衣服を脱ぐ治夫を手伝った。
 最後の下着を外して肌が部屋の空気に触れた途端、今までにない解放感を味わった治夫は言われるままベッドで仰向けになった。解放された治夫の陰茎はやや硬くなっていて、明るい部屋の中で頭をもたげようとする陰茎を晒すのは気恥ずかしいが、解放感はいまや喜びに近い。

手入れが始まって、店主は半ば硬くなった陰茎を手で押しやった。
「男の人って無神経なのね。大切な男女が愛し合う時、乱れている毛が女性の敏感な部分に触れて、時には傷つけることもあるというのに、まったく気づいていない」
 そう言いながら、特有のねじれた陰毛に櫛を当て始めた。
   治夫の下腹部に店主の手の温もりが伝わる。治夫は店主が触れるたびにしだいに硬くなる陰茎に気付いたがどうしょうもなかった。
 唐突に、「あららっ」と言う声。顔を少し上げた治夫に見えたのは戸惑う店主の顔。どうやら、硬くなった治夫の陰茎を持て余しているようだ。
「ごめんなさいね。私の手をはじくほど硬いのに無理に押し付けたりして、痛かったでしょう」
「それほどでもない」
 治夫は首を振って、「だいじょうぶだ」ということを示した。

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素姓乱雑
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