何処(いづこ)へ ‐その3‐
並みの小童でないショウジは、写狂老人が翔司をカメラの中へ招くと予見し、意図した場所をショウゾウの隠し場所として選んだ。だがショウゾウの叔父と名乗る男との一件で老人を信用しなくなったカメラは、老人がその位置にレンズの先を向けた際に、ショウゾウの姿を素直に結ばなかった。
「そのせいでショウゾウを探すのに一苦労した」


「そのせいでショウゾウを探すのに一苦労した」


老人はぼやくがカメラは身をよじって不満を表した。翔司は老人のぼやきをさえぎるように聞いた。
「居場所が分かったとしても、どうして助け出そうか?」
目に見えない時空の落とし穴は、落ちたショウゾウの姿も見えなくした。その落とし穴からショウゾウの重い体を助け上げるには人手が必要だが、うかつに落とし穴へは近寄れなかった。なぜならば、落とし穴の境目がどこまでなのか分からない。ばかりか、時空の落とし穴は近づくものを飲み込むように裂け目を広げることがあるので、助けようとする者まで落とし穴に落ちるおそれがある。
「嘘だまりを使うとしょうか」
「嘘だまり…… どのように?」
「わしがショウゾウと裂け目にカメラを向けてあげる。さすれば、カメラと〈目〉でつながっているお前さんは、ショウゾウの位置と裂け目の境が分かるだろうから、ショウゾウの体の下に嘘だまりを詰めておくれ」
それで翔司も、おおよそのやり方が呑み込めた。
老人と翔司は、体の下に嘘だまりを詰める作業に取り掛かかった。
「あの小童、ショウゾウをこんなところに隠したのか!」
ショウゾウを覗き込んでいる二人の頭上から突然、声が降ってきた。
「居場所が分かったとしても、どうして助け出そうか?」
目に見えない時空の落とし穴は、落ちたショウゾウの姿も見えなくした。その落とし穴からショウゾウの重い体を助け上げるには人手が必要だが、うかつに落とし穴へは近寄れなかった。なぜならば、落とし穴の境目がどこまでなのか分からない。ばかりか、時空の落とし穴は近づくものを飲み込むように裂け目を広げることがあるので、助けようとする者まで落とし穴に落ちるおそれがある。
「嘘だまりを使うとしょうか」
「嘘だまり…… どのように?」
「わしがショウゾウと裂け目にカメラを向けてあげる。さすれば、カメラと〈目〉でつながっているお前さんは、ショウゾウの位置と裂け目の境が分かるだろうから、ショウゾウの体の下に嘘だまりを詰めておくれ」
それで翔司も、おおよそのやり方が呑み込めた。
老人と翔司は、体の下に嘘だまりを詰める作業に取り掛かかった。
「あの小童、ショウゾウをこんなところに隠したのか!」
ショウゾウを覗き込んでいる二人の頭上から突然、声が降ってきた。