揺れる大地 -その7-

 据えたベッドを巡らすカーテンを開けて二人が見たものはショウゾウの悲惨な姿。ベッドに横たわるショウゾウは全身を包帯で巻かれて目と鼻と口だけが覗いている。ショウゾウは怪我のせいか、しわがれ声を出した。
「よく来てくれました」
「大変な目にあったのぅ」
「突然襲われたので逃げる暇も有りませんでした」
 ショウゾウは口をわなわなさせながらそれだけ言うのがやっと、というありさま。そのショウゾウが老人のそばにいる翔司を見て、悲鳴に似た声を上げた。
「そっ、そこにいるのは誰です?」
 白い包帯の間から覗く暗いほら穴のような眼をうろうろさせる。
「安心せいショウゾウ、わしの知り合いじゃ。今後のこともあるのでこの者に手伝ってもらうことにした」
 聞いてほっとしたのかショウゾウは構えた体を崩し、臥せたベットに沈み込んだ。
「老人のすることもずいぶんと規模が大きくなりました」
「そんなことはない、わしも年じゃで、体の動く間に最後のひと仕事をしなけりゃならん思っている。それはそうと、襲った奴は見たのか?」
「なにぶん、突然だったので……」
「さもありなん。それはそうとして、お前の叔父だと言う男とはいつどこで知り合った?」
「いつって……、小さい頃から叔父、甥として交わった仲ですから」
「ほぅ、小さい頃からのぅ」
 老人はショウゾウを見つめて考え込んだので病室が静寂に包まれた。ショウゾウは老人のだんまりに耐えきれなくなったのか、もぞもぞと体の向きをわずかに変える。それが翔司には、老人の視線を逸らしたように映った。
 やがて老人はショウゾウに目を据えたままで、
「我々のすることを、快く思わない者の仕業じゃろうか?」
 などと、ぶつぶつ言ったが、何を思い出したのか、「そうじゃ!」と声を上げた。
「ショウゾウ、人間の祖先が子孫に伝え忘れた、【神との約束事】とはどういったものか、この者にも教えてやってくれんかの」
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素姓乱雑
Posted by素姓乱雑

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