嘘だまり

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ある店で (その1)

奈津夫がその店をのぞいたのは気まぐれでしかなかった。 通りを歩いていると路地から少し入った所に時計屋が見える。古くさい店だ。こんな場所で、しかも寂れたような店に客が来るのだろうか?、窓越しに店の中を見てみると案の定、誰もいない。だが意外にも、店主は女性で若かった。  店主に惹かれた奈津夫はドアを開けて、店の中に入った。 時計を修理中だったのか、店主はドライバーを持った手を止め、付けていたルーペを外...

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ある店で (その2)

真夜中、奈津夫が人の気配に気付いて目を覚ますと、戸締りしてある家にどうして入ったのか、不愛想だったあの時計屋の店主が枕元にいて、奈津夫の布団に入ると添い寝をした。 店主は奈津夫が店を訪れた時のままの姿だったし、表情は相変わらず無愛想だが、添い寝をすると同時に手を伸ばして奈津夫の陰茎を握った。そんなに手を動かす訳でもないのに、得も言われぬ快感が奈津夫を襲う。奈津夫が手を伸ばして店主の体に触れようとし...

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ある店で (その3)

奈津夫はそれよりも店主の心臓の音が気になった。コチコチと、まるで時を刻んでいるかのようだ。 「どうだった、私の身体、思ったほどじゃないので失望した?」 「いや、あなたの全てに触れてみたい。そうしないと気持ちが治まらない」 「時期がまだ早すぎるわ。もっと馴染んでからでないと」 「どうしたら、馴染める?」  店主は明確な答えを言わない。いつものように陰茎を握り、奈津夫を眠らせて去った。 翌日、奈津夫は...

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ある店で (その4)

どれだけ眠っただろう、奈津夫は気配で目を覚ました。いつもと違った衣服を身に着ける店主が枕元にいた。 「久しぶりだな、服を変えたんだ」 「ええそうよ、選んでもらったの」 「誰に? 他に好きな人でもできたのか!」 「覚えていないの、先日、店を訪れたでしょう、その時にあなたが」 「そんな……、俺は服を選んだ覚えなんかないぞ。そういえば、ベルトの交換はしたが」 「服よりもあなたの知りたいことは、『どうしたら...